Talking about my own NSX僕とNSX

塚越広大の手元にHonda NSXが届いてから約半年が経ちました。塚越広大はNSXを自宅から全国のサーキット、あるいは自らオーナーをつとめるフォーミュランド・ラー飯能への移動はもちろん、旅行やドライブにも使っており、走行距離はすでに6000kmを超えたといいます。今では塚越広大の生活に欠かせないものとなっているNSXの走りとデザインについて、ユーザー視点で語ってくれました。

取材・文=川原田剛 写真=篠原晃一

「NSXはいい意味で普通の車です」

僕のところにNSXが納車されたのは2017年3月10日です。発売当日の2月末には納車できる状態だったのですが、テストのスケジュールなどもあり、3月10日という日程になりました。普段は自宅からサーキット、僕がオーナーをつとめているラー飯能への移動など使っています。サーキットでは、鈴鹿(三重県)、富士スピードウェイ(静岡県)、もてぎ(栃木県)、スポーツランドSUGO(宮城県)にはNSXで出かけています。
あとは旅行やドライブなど遠出する時も使っています。6月にはスポーツランドSUGOのテストを終えてから北上し、青森、北海道と回ってきました。走行距離はすでに6000kmを超えたところです。

走りに関しては、僕はフェラーリやポルシェといった他の高級スポーツカーに乗ったことがないので、比較しながら語ることはできません。僕が乗ったことがあるスポーツカーといえば、HSV-010やNSX CONSEPT-GTといった、サーキットを走行するGTカーしかありません。そういう意味では、僕は少し特殊なのかもしれませんが(笑)、走りに関してすごくよく仕上がっていると思います。街中や山道では気になるところはまったくありません。
NSXには4種類の走行モード「Quiet(クワイエット)」「Sport(スポーツ)」「Sport+(スポーツプラス)」「Track(トラック)」がありますが、デフォルトの「Sport」モードでも街乗りがすごく楽です。あの見た目からは想像できないほど乗り心地がいいんです。

それにシートポジションがスポーツカーとしてはすこし高いところにあるので、必然的にアイポイントもちょっと高いのですが、それが街乗りだとちょうどいい。いったん乗ってしまうと、いい意味で普通の車なんです。コンビニに行くのもまったく苦になりません(笑)。
モーターで走ると全然音がしませんし、街乗りではちょうどいいと思います。むしろ、ちょっと静かすぎるぐらいです。「Sport+」や「Track」モードにすると、低音が響いて、スポーティなサウンドになりますが、個人的にはもう少し迫力のある音にしてもいいのかなとも感じます。燃費もすごくよくて、リッターあたりの走行距離が一桁になることはほとんどありません。この点でも、いたって普通の車なんです。

レーシングドライバーという観点で、NSXの走りで「すごい!」と感じるのは、0-100 km/hの加速です。3.5リッターのV6 DOHCツインターボ+3モーターが搭載されたNSXの車重は1.8トンぐらいあるのですが、それをまったく感じさせないぐらいの鋭い加速には驚かされます。
エンジンはよく回りますし、よく曲がります。このへんはスーパーGTのNSXと同じだと言えるでしょう。ただ、ハンドリングはやや機敏すぎるかもしれません。ドイツ車に比べると直進安定性もいまひとつという気がします。そのために高速道路を走っている時にはちょっと疲れやすいように感じます。
走りで気になる点はそれぐらいです。あと付け加えるとすれば、サーキットでの限界走行したい方は、標準で装着されているタイヤがコンフォートというか、乗り心地を優先したスペックなので、交換が必要かもしれません。タイヤさえ交換すれば、まったく問題なくスポーツ走行を楽しめると思います。
このように走りに関して言えば、マイナス部分はほとんどありません。満足度はかなり高いです。では次はデザインやインテリアなどについて語ってみたいと思います。