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ファンの皆さんからの質問に塚越広大が直接答える1年に1回の特別企画「Koudai on Koudai」。今回で8回目となった当企画には、例年通りにたくさんの方から質問が寄せられました。まずは前編として「プライベートに関する質問」をセレクトして、広大に答えてもらいました。ヘアスタイル、好きなアニメ、栃木のオススメの観光ポイント、カートで速く走る方法など、さまざまな質問を広大にぶつけています、ぜひお楽しみに!

取材・文川原田剛
写真村上庄吾

「いまの僕はエヴァのシンジと一緒ですね(笑)」

長野県のなつさんからの質問です。「広大くんは栃木県出身ですが、『栃木に来たらここは絶対行くべき!』や『栃木に来たらこれは食べるべき!』なおすすめを教えてください」。愛知県のmomoさんからは、「もてぎでレースを観戦したいのですが、なかなか友人を説得できません。もてぎならではの魅力、栃木県の魅力を教えてください」という質問も届いています。
栃木、もてぎのどちらかというのではなく、パックで楽しんでほしいと思いますね。栃木で食べるべきものは、宇都宮の餃子は食べて当たり前だと思いますが、僕としては日光の湯波(ゆば)をぜひ食べてほしいんです。普段はなかなか湯波メインでご飯を食べることはないと思いますが、すごくおいしいんです。ちょうど日光駅から日光東照宮まで行くまでの通りに有名な湯波のお店がいくつかあるので、食事をしながらゆったりと過ごしてほしいですね。

オススメの観光スポットは、もちろんユネスコの世界遺産にも登録されている日光東照宮。それに霧降高原もオススメです。特に夏に訪れてほしいですね。霧降高原のチロリン村には日光の天然氷を使ったかき氷のお店があるんです。それがすごくおいしいので、食べてほしいですね。それに避暑地なのですごく涼しいんです。今シーズンは夏にスーパーフォーミュラがもてぎで(8/23-24)に開催されますので、そのタイミングでぜひ霧降高原に足を運んでほしいです。
愛知県のmomoさんからもう一問。「2013年はブログの更新が少なくて寂しかったです。2013年はそれまでと違う、何かをされていたのでしょうか?」
特に何かをしていたわけではありません。ただ、いろいろ生きるのに忙しくて(笑)。今年はブログがいっぱい更新できるように頑張ります。
茨城県のりささんからの質問です。「新世紀エヴァンゲリオン(エヴァ)が好きになったきっかけは何ですか?」
僕は子どもの頃からアニメとか漫画は好きでしたが、エヴァが最初にテレビ放送されていた時(1995年〜1996年)はまだ小学生なので、エヴァのことは知らないですし、番組自体も全然見ていませんでした。高校を卒業して一人暮らしを始めた18歳ぐらいの時には、もうエヴァのことは知っていましたし、アニメを見たいと思っていたのですが、最初は多分漫画から入ったんです。コミックを読んで面白くて、それからアニメを見てハマっていきました。

エヴァは表面的なストーリーだけでなくて、裏テーマというのを読み解いていくのが面白いんです。聖書の引用があったり、人間の嫌な部分であったり、そういう深い話がベースにあります。アニメや漫画というのは勧善懲悪のヒーロー物が多いじゃないですか。でもエヴァは人間の内面にあるダークサイドやドロドロした部分などを掘り下げています。そこに共感したのかもしれないですね。僕は意外に暗いですから。いまの僕の状況は、(エヴァの主人公)のシンジみたいな感じかもしれないですよ。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだって(笑)。
宮城県のIzanana100さんからの質問です。「伊沢拓也選手とアニメの話をしたりしてますが、どんなアニメが好きなんですか? あと最近のオススメのアニメ教えてください ッ!!!」
伊沢さんと僕が同じようにハマっているのが『エヴァ』と『東のエデン』、それからアニメーション作家の新海誠さんの手がけている『秒速5センチメートル』と、新海さんの最新作『言の葉の庭』ですね。『東のエデン』と新海さんの作品は伊沢さんが薦めてくれました、伊沢さんのヘルメットの裏には『東のエデン』に登場する天秤が、僕のヘルメットにはエヴァのNERV(ネルフ)のマークがついていますよ。

どんなアニメが好きかといえば、まず絵が自分のこのみかどうかですよね。僕は新海さんのきれいで繊細な絵が好きです。あと割と現実味のあるストーリーが好きです。最近では『宇宙兄弟』もいいですね。エヴァは全体的にはあり得ないストーリーですが、要所要所の人間描写や心理描写はすごくリアルなんです。特に最初の頃のエヴァはかなり現実に近いような気がしています。

最近のオススメは……実は最近アニメをあまり見ていないんですよね。逆に僕からみなさんに聞きたいのは、伊沢さんは『秒速5センチメートル』が好きで、僕は『言の葉の庭』のほうが好きなんですが、どっちがいいのか、みんなの感想や意見を聞きたいですね(笑)。
和歌山県の大谷天真さんからの質問です。「6歳でカートをしています。近くにサーキットがなく、4時間かけてカートコースに通っています。でも練習に行けない日も多いので、サーキットに行かなくても何か練習になることはないですか?」
全部がレースに生きるかどうかわかりませんが、いろいろありますよ。昨年も言っていますが、例えば人混みの中を歩いてA地点からB地点に行く時に、どうやったら最短距離で、スピードを落とさず、接触もしないで歩くことができるのか。周りの人の動きを見ながら、どういうライン取りで行けばいいのか、というのを瞬時に判断する。それはすごく大事だと思いますし、普段でも練習できますよね。

他には、例えばレストランに行きます。メニューをパッと見て、何を食べるのかを決める。そういう決断力を養うことも大事です。あとは段取りをきちんとすることや、時間を厳守することも大事です。そういうことはレース以外でも大事ですが、いざやろうと思ってもなかなかできません。普段からそういうことを心がけていると、自然にできると思います。

また、お母さんがご飯をつくるのを手伝いする時でも練習ができます。次にお母さんが何を望んでいるのかを察して、あらかじめ準備しておく。つまり先を読むことですね。そういうことに気がつければ、レースにも役立ちます。例えば、レースでは「より速く走るために次はマシンにどういう準備をしていけばいいのか」「ドライビングでもどこのコーナーで何を直さなければならない」など、常に自分で考えて判断することが求められます。つまり自分の頭でいろんなことを考えて、実行する力を身につけるのがすごく大事なのです。それはレースだけでなく、勉強でも、社会に出て仕事をする上でも役立つスキルだと思います。

トレーニングは特に必要ないと思いますよ。学校の体育の授業を一生懸命にやって、外で遊んでいればいいと思います。運動神経はいいにこしたことがありませんから、部活やクラブ活動をやっても構わないと思います。逆に気をつけなければならないのはゲームですね。目が悪くなったらレーサーは厳しいですからね。こんなふうに、サーキットで走ること以外にも、普段からやれることはいっぱいあります。
栃木県のまーさんからの質問です。「7歳の長男がカートをやりたがっています。どのような始め方がいいと思いますか? また塚越選手がカートを教えるようなイベントはありますか?」
キッズカートだったり、子ども用のカートがあるので、まずはカートの体験スクールのようなものに参加してみるのをオススメします。僕もラー飯能さんでキッズカートスクールをやっていますが、他のコースでもやっているところがあります。そこで一回乗ってみるのがいいと思います。実際にカートに乗ってみて、お子さんが本気でレースをやってみたいということになったら、いろんなカートショップやサーキットに行ってみるのがいいと思います。でも最初のうちは、いきなり自分でカートを購入するとか、どこかのショップに所属するとか、そこまでする必要はないと思います。最初はレンタルカートでも構いません。カートを本格的にやろうとすると、家族の協力は不可欠ですので、まずは家族みんなで楽しむというスタンスで、やったほうがいいと思います。
石川県のしゅうさんからの質問です。「僕はキッズカートを卒業してカデットカートをします! スローイン・ファーストアウトが基本ですが、ブレーキが遅くてコーナーリングがうまくいきません。どうしたらいいですか?」
ご質問の中で「ブレーキが遅い」というのが、具体的にどんな意味なのかがよくわからないので、どう答えたらいいのかな。ブレーキを踏むタイミングが遅いのか、アクセルを戻してからブレーキを踏み換えるのが遅いのか、制動距離が長いのか、それかがわからないですが、速く走るためには減速がすごく大事になります。まずはタイムを気にせずに、いろんなブレーキの仕方を覚えてほしいですね。

しゅうさんがいつも通っているコースを1周走ろうとすれば、ハードブレーキをするところから、ちょんと軽くブレーキを踏むところまで、さまざまな種類のブレーキをする必要があると思います。まずは、それぞれのブレーキの質を上げるような練習をしていけばいいと思います。

それができるようになったら、短い距離で、安定して止まることができるようになると思います。それからキッズからカデットクラスにステップアップになると、クルマのスピードも速いし、クルマも重くなるので、どうしても制動距離は伸びます。キッズの時と同じ感覚でブレーキを踏んでも止まらないので、ブレーキを踏む力を強くするとか、そういうことも必要になってくると思いますよ。最後にスローイン・ファーストアウトは基本じゃないですよ。ファーストイン・ファーストアウトです(笑)。
カートのドライビングに関してもう一問。東京都の安藤雅夫さんからの質問です。「レーシングカートで一周のタイムは出せるのですが、周回を重ねるとタイムがバラつきます。安定してタイム出すにはどういう練習すればいいでしょうか?」
まずは、失敗しないように走ることが大事です。タイムがばらつくということは、どこかでミスをしているとことだと思います。ベストタイムよりも2〜3秒遅くてもいいんです。まずは、そのタイムで安定して走れるようにすればいいと思います。ベストよりも3秒遅くてもいいのなら、ドライバーは自分に余裕があると思うんです。そこから、無理なく走れるレベルを少しずつ上げていく。1分50秒がベストタイムだとして、1分53秒で5周なり10周なり走っていると、自然にタイムは上がってきちゃうと思います。そうすると、「別に攻めていないのにタイムが速くなっているな」というポイントがいくつか出てくると思います。そういうのをいくつか発見していくと、そんなに頑張らなくても、自ずとタイムが上がってくるはずです。
岡山県の親ばか一筋15年さんからの質問です。「中2の息子がスーパーGTを見て、レーサーなりたいというのですが、何から手をつけていいかわかりません。アドバイスお願いします」
自分自身はレーシングカートから始まって、そこで結果を残してから、鈴鹿サーキットのレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)に参加しました。SRSを首席で卒業し、プロの4輪ドライバーになる道が開けました。ホンダであればSRSですし、トヨタさんにもレーシングスクールがあります。そこで結果を出すことができれば、国内のトップカテゴリーに参戦する一番の近道じゃないかなと思います。スーパーGTに参戦するためにも、やっぱりフォーミュラでスキルを磨いていかなければといけないと思います。
三重県の中広貴さんからの質問です。「今、乗りたい車は何ですか?」
実車じゃないですが、グランツーリスモ6(GT6)にKEIHIN HSV-010 GTが入っているんですけど、それに乗りたいですね。富士仕様なんですが、まだドライブしていないんです。早く運転してみたいです。今はクルマよりもバイクが気になっているんです。中でもモトクロスは、ぜひ1回やってみたいですね。
千葉県のsyoさんからの質問です。「塚越選手はビートを始め、何台かのマイカーを所有されていると思いますが、どのようにクルマを乗り分けているのですか?」
ビートは実質的に弟のクルマですね。所有者は僕で、使用者が弟です。僕も乗っていたことがありますし、大事にしていますが、基本的に弟のクルマです。いまはオデッセイとアキュラのZDX、オートバイのVFR1200Fに乗っていますが、気分で使い分けています。
東京都のたけちゃんさんからの質問です。「プライベートで車とバイクを楽しんでいらっしゃいますが、塚越選手の考える自動車、バイクのそれぞれの魅力や違いとはどんなものなのでしょうか?」
バイクは風を切って走るのですごく気持ちがいいですし、バイクのほうがスポーツに近いと思います。自然を感じながら、自分の体とバイクを動かしながらコーナーリングしていく、それが気持ちいいですね。朝早くバイクに乗って、東京湾アクアラインの海ほたるパーキングエリアに行って、コーヒー飲んで帰ってくる、ということもありました。本当にいい気分転換になります。そもそもバイクを購入したのは、いまトレーニングしている仲間にオートバイの選手が多いのです。彼らと話をしているうちに、バイクに乗りたいなあと思い始めました。そして、いろんなアドバイスを聞いた結果、VFR1200Fを買うことにしました。
滋賀県のにゃんこさんからの質問です。「いつもカッコいい塚越選手ですが、昨年はヘアスタイルがいろいろ変わっていたようですが、今までで一番気に入っているのは?」
髪型に関しては、まだ模索中ですね。アシンメトリー(アシメ)の中盤ぐらいですかね。それが周りでは一番評判が良かったですね。アシメが似合っていたとよく言われますので、今年はアシメに戻そうかなと思っています。
栃木県のりこさんからの質問です。「塚越選手が、一番幸せだなーと思う瞬間って、どんなときですか?」
正確には幸せだなと感じる時ではありませんが、僕も忙しい時や心が乱れている時に、「リラックスしよう。落ち着こう」と思って、いろんなことを実践してみました。その結果、実際に一番効果があったのが、家を掃除することでした。ダイソンのハンディクリーナーを片手に家の中を延々と掃除する。それが一番落ち着きましたし、無心になれるんですよね。洗い物や洗濯じゃダメでした。掃除は本当に落ち着きますね(笑)。

Koudai on Koudai 2013-2014 後編