Koudai on Koudai2022-2023

年に1回のスペシャル企画「Koudai on Koudai 2022-2023」に今年もたくさんの質問を送っていただき、本当にありがとうございました。今回もレースに関する質問から、カートやクルマ、塚越広大が力を入れているYouTubeに関することまで、幅広い内容のものが届きました。
取材・文=川原田剛/写真=GTA、JRP

前編

Q愛知県の『ちゃお』さんからの質問です。「ホンダ車以外の市販車で(国内外問わず)欲しいクルマ、乗りたいクルマはなんですか?」
僕は「これ1台あれば何でもこい!」というオールマイティなクルマが好きなんです。人や荷物が乗せられて、四駆でオフロードもサーキットも行ける。そういう意味ではステーションワゴンが好きなんです。最近ではBMWのM3のワゴンかアルピナのワゴンがいいなと思います。ホンダにも昔はアコードのワゴンがありましたね。90年代の後半のUSアコードワゴンはスタイルが大好きでした。

今、僕は何台かのクルマを所有していますが、それぞれの特徴や強みをいろんなクルマで補っている感じなんです。人も乗れてオフロードも行けるのはCR-V、サーキット走行はNSXというふうに割り振りしていますが、本当は1台ですべてこなせるというのが理想なんです。そういう意味ではシビックタイプRワゴンとかがいいんですけどね(笑)。
Q愛知県の『ちゃお』さんからはもう一問です。「市販されてない車で乗ってみたいクルマはなんですか? F1・WRC・D1・スーパーGT・消防車・救急車・パトカー・ドラッグカーなど、仕事としてではなく運転してみたいと思うクルマです)
レーシングカーだとF1もインディもWECもWRCもNASCARも全部乗りたいですね。レーシングカーはひととおり乗ってみたい。消防車や救急車などの働くクルマはあまり乗ってみたいという感じではないですね。
Q栃木県の『へとみ』さんからの質問です。「ホンダの製品で一番好きなのは何ですか?」
基本的にホンダというブランドは好きですし、これまでモータースポーツ活動をともに続けてきました。僕が憧れたF1の時代もマクラーレン・ホンダが大好きですし、一番はなかなか難しいですが……ホンダジェットは一回乗ってみたいです。もちろんクルマもバイクも好きだし、発電機や除雪機はお世話になったことがあります。でもホンダジェットとマリンはお世話になったことがないので、興味がありますね。
Q愛知県の『こうしみつき』さんからの質問です。「以前、リアルレーシングが開催したオンLINEミーティングで顔しか写っていなかったはずなのに、違うチームウェアを着ていたことをすぐ見抜かれました。動体視力がずば抜けて良いんでしょうか?」
他の人に比べて僕の動体視力がいいのか悪いのかわかりませんが、レーシングドライバーとしてマシンを運転している時だけでなく、一般道を走る時でも動体視力と反射神経はいいに越したことはないです。

レースの場合は、前で何かがあった時や、マシンが滑ったりした時にすぐに身体が反応するとかに役立ちます。一般道でも何か飛び出してくるのかわかりません。正直言って、サーキットよりも一般道のほうが危険です。そういう時の状況判断とドライビングに関しては、動体視力と反射神経はすごく大切だと思います。
Q愛知県の『こうしみつき』さんからもう一問です。「小5と小3息子達がレンタルカートを始め、そのサーキットでの大会に出ました。同じ場所でレンタルカートを続けるのと、いろいろなカート場で走りを体験するのとどちらがおすすめでしょうか?」
長い目で見れば、いろんなサーキットに行く方がいいと思います。でも、まずはひとつのサーキットである程度のレベルまで上達して、経験や知識を積み重ねる必要があります。そうじゃないと、他のところに走りに行ったとしてもクルマの違いやライン取りなどもわからないと思います。まずはひとつのサーキットで基礎を学んで、他のサーキットに行くというステップを踏むことが理想だと思います。
Q栃木県の『Ryu_real』さんや静岡県の『HIRA NSX』さん、宮城県の『ハイジ』さんなど多数の方から質問です。「自家用車は全部で何台持っているのでしょうか? また一番気に入っている車はなんでしょうか?」
今はNSX、NSXタイプR、S2000、CR-Z MUGEN RZ、CIVIC MUGEN RR、CR-V、ビート……全部で10台ぐらい持っています(笑)。一番カスタムして、力が入っているし、楽しんでいるのはCR-Vです。
Q栃木県の『カイトくんパパ』さんからの質問です。「2022年シーズンで一番印象に残っているレースはスーパーGT第5戦鈴鹿の2位表彰台なのですが塚越選手はどのレースになりますか?燃費走行しながらの表彰台は感動的でした」
僕の中でもそのレースになります。結果こそ勝てませんでしたが、自分としてもいいレースができたと思います。トラブルで燃費走行を強いられましたが、最後までゴールにマシンを持っていくことができました。そういう意味では、一番印象に残っています。
Q栃木県の『カイトくんパパ』さんからもう一問です。「所有しているホンダ車の中で一番思い入れのある車はどれでしょう? 僕はビートの印象が強いです」
すべてのクルマに思い入れはあります。でもビートは2008年に購入しています。一番所有している期間が長いですので、思い出はたくさんあるクルマですね。
Q東京都の『岡崎大輝』さんからの質問です。「今カデットクラスで頑張っています。家でどんなトレーニングをすればいいですか?」
基本的には心肺機能や前に話した反射神経、動体視力を鍛えるようなトレーニングがいいのかなと思います。ダッシュ系をしたり、最近は縄跳びをしている人も多いですね。小さくて強い筋肉を作らなければならないので、ボクサーとかのトレーニングがいいのかなと思います。
Q栃木県の『1199』さんからの質問です。「栃木県出身アピールが少ない感じがしますが、仕事以外で栃木に来ることがありますか?」
仕事以外ですか……(苦笑)。実家に帰るのも仕事のついでなので、ほとんどないですね。最近だと、とちぎ未来大使の仕事で県の特産品をいただいてPRさせていただいているのですけど……もう少し頑張ります!
Q栃木県の『1199』さんからもう一問です。「モータースポーツを仕事以外で観戦することはありますか?」
ありますよ。最近では小暮(卓史)さんが普通にサーキットをスポーツ走行しているのを見に行って応援してきましたよ(笑)。あとはカートのレースにも行ったりしますね。
Q兵庫県の『神戸の超フッ軽カメラマン KAORI』さんと岩手県の『サイ』さんからの質問です。「一番好きなサーキットはどこですか?」
前から何度か言っていますが、市街地コースが好きです。僕はマカオ、ポー、ノリスリンクの3つしか市街地コースでのレース経験がありませんが、楽しかったですし、好きですね。今、フォーミュラEをお台場(東京)でやるというアイデアが出ていますし、近年のF1やインディカーは市街地コースが多い。ぜひ国内のレースも市街地でやってほしいです。

レースに限らず、イベントでもいいので、市街地で走れるようなことがあったらうれしいですね。主催者はいろいろ大変な手続きがあると思いますが、きっと見ているほうも楽しいはずなので、ぜひ実現してほしい。あと個人的にはナイトレースもやってほしいなあと思います。
Q兵庫県の『神戸の超フッ軽カメラマン KAORI』さんからはもう一問です。「レースの時に、ワクワクしたり、楽しいのはどんな瞬間ですか? 私はスタートの瞬間がワクワクドキドキして泣けてくるほど好きです(笑)」
正直一番楽しいのは予選です。新品タイヤで、限られた時間の中で、自分とマシンの限界に挑む。タイヤや燃料をセーブするとか何も考えずに、ただただ、この1周にすべてを賭けるという時間ですので、一番楽しいです。
Q福岡県の『コウイチRC』さんからの質問です。「A賞B賞のようなアンダーシャツって何戦くらい使用して交換するものなのでしょうか?」
基本的にはフォーミュラとスーパーGTのそれぞれで年間2、3セットあります。それを1年間で使い回すという感じです。1年以上、使うことも全然できますが、毎年、新しいものを提供していただいています。
Q三重県の『scp10user』さんからの質問です。「2022年12月に鈴鹿サーキット南コースで開催されたOKクラス特別レースは、昨年限りでレーシングカートへのタイヤ供給を終了することになったブリヂストンタイヤさんへの感謝を表す大会でした。塚越選手も出場されていますが、改めて出場のことやブリヂストンタイヤさんへの想い、塚越選手のカート戦歴や思い出などを振り返って、コメントをお願いいたします」
僕がブリヂストンを意識したのはカート時代でした。その後、F1やスーパーGTなど国内外のモータースポーツを支えていましたので、僕自身、ブリヂストンを装着することに喜びを感じました。僕が持っている市販車でもブリヂストンを履いていますが、自分の中ではひとつのブランドを身につけているようなイメージがあります。

カートを長年支えてきたブリヂストンが活動をやめるのは寂しいことですが、すごくいいタイヤを作ってもらって、僕以外にもレースを続けられたドライバーがたくさんいたと思います。感謝もしていますし、またいつか復活してくれたらうれしいです。
Q三重県の『scp10user』さんからもう一問です。「実はブリヂストンさんのカート大会があった日、別の下位(SS)クラスに息子が挑戦していました。昨年は鈴鹿初挑戦で息子は悩み苦しんで、必死に努力しても苦戦続きで何度も辞めると言いましたし、何度も逃げかけました。それでも大会の直前に長いトンネルの出口が見えたらしく、計測予選で所属チームも驚くほど速さを身につけました。レースは相変わらず経験不足につけ込まれて圧をかけられ、駆け引きに負けてしまったのですが、今年は勝ちたいので、自分を変えると意気込んでいます。気の弱い子なのですが、よろしければ励ましのお言葉を頂けますでしょうか」
自分の弱さを認めるのは難しいことです。わかっているからこそ何とかしようと思って、それがミスを誘発してしまったり、ライバルにつけいるスキを与えてしまったりしているのかな、と感じます。だから自分の弱いところを自分で認めて、できないことはできないとあきらめる。そういうことも肝心だと思います。

逆に自分の得意なところを伸ばして、強さにする。予選ではいいタイムで走れるのに、決勝はおそらく順位を意識してしまっているから、駆け引きに負けてしまうんだと思います。だから前しか見ないで、速く走ることだけに集中すればいいと思います。

自分の経験から言わせてもらえれば、1回勝てば、すごく変わると思います。逆に勝つまではすごく大変ですが、勝負はそういうものなんです。あきらめるとそこで終わりなので、自信を持って走ることが大事だと思います。
Q三重県の『鈴鹿のとーちゃん』さんからの質問です。「僕らがサーキットで振っている大旗は、ドライバーはじめチームの方々の力になっていますか?」
もちろんなっています! 応援してもらっている皆さんの思いは、僕らはしっかりと受け取っていますし、すごく大きな力になります。中にはテストの時にも旗を持ってきて応援してくれる方もいますが、ドライバーだけでなくチームのスタッフにも励みになっていますので、すごく感謝しています。
Q京都府の『かっちゃん』さんからの質問です。「道の駅でこんなものまで売っているんだと驚いた物、またはここは絶対行ってみたい、食べてみたいなって思っているところがあれば教えて下さい」
YouTubeの『塚越広大MOTOR HOLIC 881』で、3人で全国の道の駅に行くことを目標にしているのですが、最近は全国制覇は難しいのかな……という厚い壁を感じています(苦笑)。関東の道の駅のガイドブックを購入したのですが、関東に隣接する甲信越、山梨と長野の情報も掲載されていました。それを見た時点で、「俺たち最後までたどり着けるのかな」と。大きな壁が立ちはだかっていますが、九州も北海道も死ぬまでにやりたいですし、やるつもりです。

驚いたことは各道の駅にピンバッヂがあるんです。それを集めたかったなあと、チャレンジの途中で気がつきました。そのピンバッヂを地図に貼れたらすごくいいのになあって思いましたね。
Q京都府の『かっちゃん』さんからはもう一問です。「和菓子か洋菓子どちらがお好きですか? おすすめのスイーツがあれば教えて下さい」
昔から断然、チョコ系が多いので、洋菓子派ですね。ティラミスとか大好きです。でもチョコレート系のスイーツはどうしてもカロリーが高いので、最近はあまり食べないようにしています。甘いものを食べるのならフルーツにしています。
Q神奈川県の『山羽稔』さんからの質問です。「2022年、塚越選手はスーパーフォーミュラの新しいマシン、タイヤの開発作業をやってきて、その形が今年、SF23として登場します。同じ歳の小林可夢偉選手や1つ下の大嶋選手がまだスーパーフォーミュラ参戦を続けている中、自分が開発したニューマシンで再びスーパーフォーミュラのレースに復帰したい気持ちはありませんか?」
もちろん走りたいです。2023年も参戦して、これからもずっと乗れるならいつまでも乗っていたいと思っています。
Q静岡県の『いの』さんの質問です。「モータースポーツ観戦初心者におすすめのサーキットはどこですか? おすすめポイントも教えて下さい」
おすすめは富士、鈴鹿、もてぎの3つですね。特に家族連れの方は鈴鹿かもてぎですね。鈴鹿は遊園地、もてぎはキャンプ場やコレクションホールなど、レース以外にも子どもたちが遊ぶところがいっぱいあります。

写真を撮るなら断然、岡山ですね。観客席とコースの距離が近いし、迫力があります。サーキットまでのドライブを楽しみたいなら、オートポリスです。ミルクロードなど、阿蘇の雄大な自然を楽しめます。おいしいごはんを食べたいなら、それはどこでも楽しめますが、SUGOは仙台が近いので、牛タンを食べられますし、観光もできます。

自分が初心者ならば、レースの迫力を存分に満喫できるので、おすすめは岡山です。初心者を連れていくのであれば、鈴鹿、もてぎ、富士の3つです。やっぱり設備が整っていて、きれいですので、快適にレースを楽しむことができると思います。
Q静岡県の『いの』さんからはもう一問です。「私はバレエをやっているのですが、レッスンで身体を痛めたり、本番前にケガをしたり、故障がとても多くメンテナンスも大変です。塚越選手はサーキットで身体のパフォーマンスを最大限発揮するために、どのようなことに気をつけ、どうやって維持されていますか?」
トレーニングやケアも大切ですが、一番大事なのは日々の生活を整えることだと思います。きちんと睡眠をとって、栄養のある食事をとり、日々の生活リズムを整えること。それが実は一番大事で、難しいことなのかなと感じています。

僕はコロナ以降、早寝早起きを心がけていますが、夜、きちんと寝ることはすごく大事なことだと思います。そのために枕やベット、布団などにこだわっていますね。もちろん、その人によって生活リズムの違いがありますが、規則正しい生活をして、睡眠の質を上げて、身体にいい食事をとること。そこにはアスリートとしても人間としても大事にしています。
Q兵庫県の『フクダ』さんからの質問です。「S2000納車おめでとうございます! サーキットを走る仕様だそうですが、土屋圭市さんや大湯都史樹選手との動画でのコラボは考えていますか? 一人のファンとしてはとても見てみたいです」
機会があればやってみたいですね。でも土屋さんや大湯選手のクルマはすごいクルマで、そこまで僕は到達できそうにありません。僕は僕なりにのんびりとやっていきたいです。