Koudai on Koudai
2019-2020

今回も塚越広大への質問にたくさんの応募をいただき、本当にありがとうございます。レースに関することからプライベートまで、実にさまざまな質問が届きました。なお今回は動画も準備していますので、お楽しみに!

取材・文=川原田剛 撮影=篠原晃一

前編

Q埼玉県の西井昌弘さんなど多数の方からの質問です。「このオフシーズンはどのように過ごしていたのですか?」
オフはまずレースでお世話になった人にあいさつをしたり、シーズンの報告に行ったりします。あとスーパーGTに関しては新しいシーズンに向けての開発がスタートしていますので、そこに参加したり、オートサロンなどのイベントにも出演したり・・・・・。もちろん家族サービスもですが、それはオフに限らず、常にやっているつもりですけどね(笑)。意外とやることが多いので、オフという感じはしませんでしたね。
Q広島県の長谷川泰三(マダオ)さんからの質問です。「2020年のGT500クラス車両のNSX-GT以外の2車種、GRスープラとGT-R NISMO、どっちに乗ってみたいですか?」
GT500に限らず、いろんなレーシングカーに乗ってみたいですが、あえてスープラとGT-Rのどちらかと聞かれれば……迷いますね。でもスープラかな。やっぱり今シーズンに向けて見た目がすごく変わっていますし、オフのテストでも調子が良さそうでしたから。
Q広島県の長谷川さんからもう一問です。「F1のチーム、メルセデス、フェラーリ、レッドブル、トロロッソ(アルファタウリ)、これら4チームのうち、どこに所属してみたいですか?」
所属するのならフェラーリがいいですね。もちろん結果を残すのであればメルセデスやレッドブルでもいいと思いますが、やっぱりフェラーリはF1の中では歴史と伝統のある特別なチームですから。
Q栃木県のERIKOさんからの質問です。「何フェチですか? ちなみに私は音フェチです」
フェチの定義が難しいですが、何だろうなあ・・・・・。強いて言えば、後ろ姿かな。クルマでも人間でも前じゃなく、後ろから見た姿が美しいのが好きですね。そうなると、人間だとおしりになるんですかね(笑)。
Q富山県の水無月勝さんからの質問です。「今までで数々のレースを戦ってきて、一番うれしかったレースは?」
いくつか記憶に残っているレースはあるのですが、最近では昨年のスーパーフォーミュラの第2戦オートポリス。開幕からシートを獲得することができませんでしたが、このオートポリスから復帰することができました。この時は久しぶりにうれしかったです。
Q埼玉県のトモヤさんからの質問です。「昨年、スーパーフォーミュラに乗れないとわかった時から復帰するまでの気持の持ちようを教えてください。精神的にしんどかったと思います」
2009年から毎年乗り続けてきたので、乗れないと決まった時よりも、テストや開幕戦で他の選手が走っているのを見ている時に寂しい気持ちと、あそこでもう一回走りたいという気持ちがありましたね。でも今にして思えば、乗れなかったことでいろいろと気づかされたこともあります。すべてがマイナスだったわけではありません。それはそれで得たもの、感じたものがありました。それを今後に生かさなければならないと思っています。
Q神奈川県の浅場毅さんからの質問です。「一昨年、小暮選手がチームから離脱することを知った時の気持ちを教えて下さい」
うーん、難しいですね。小暮さんは他のドライバーと違って、お互いにクルマ好きで趣味があい、プライベートでも過ごす時間が長かった。できれば同じチームで走りたかったので、寂しいし、悲しいし、残念な気持ちがありました。
Q茨城県の1番センター坂口さんからの質問です。「小暮卓史選手のオモシロ・エピソードはありますか?(笑)」
みんな小暮さんのことを天然と言いますが、それほどじゃないです。すごく真面目で一生懸命な方なんです。でも、真面目過ぎるがゆえに、いろいろなハプニングが起こってしまうということがあるんです。小暮さんと一緒にいる時はいつも楽しかったので、エピソードがたくさんあって、ひとつに絞り込めないですね。でも昔、アニメの話になって、『美少女戦士セーラームーン』について喋っていたことがあったんです。小暮さんはタキシード仮面の名前をどうしても思い出せないようだったので、僕が「それはタキシード仮面ですよ」と教えてあげたんです。そしたら小暮さんが小声で「ああ、タキシード仮面様ね」と言ったんですよね。なんで“様”だったのかなって。それを今、ふと思い出しましたね(笑)。
Q茨城県の1番センター坂口さんからもう一問です。「もらってうれしい差し入れは何ですか?」
何でもうれしいですが、自分が好きだったり、使えるものをいただけるのがうれしいです。レースの時には食べ物をよくもらったりするのですが、すき焼きの肉をいただいたことがあって、それはすごくうれしかったですね。お菓子もいただくことが多いのですが、体調管理や体重のことを考えると、なかなか食べられないんです。食べ物だったら、僕は酸っぱいものが好きなので、梅干しとかおしんこだとうれしいですね(笑)。あと僕はTHREE(スリー)の化粧品を使っているのですが、それをいただいた時はすごくうれしかったです。
Q三重県のscp10userさんからの質問です。「昨年、小暮選手がGT500クラスに乗れないと聞いてショックでした。スーパーフォーミュラの開幕戦に塚越選手のシートがないと聞いてショックでした。私だと心が折れて挫けてしまい、その場にへたり込んでしまうのに、皆さんは弱音を言わず強い心で前を向いて進み確実に結果をつかみますよね。誰にでも簡単に真似できないと思います。将来の夢を見る子供たちに知ってほしい教訓があると思います。どうしてそんなに強さを保ち続けられるのか、ぜひ教えてくださいませんか?」
大事なことは覚悟を決めることだと思います。自分が決めたことを最後までやり遂げる。そこに全身全霊を捧げる覚悟が必要だと思います。といっても覚悟するだけでなく、そこには行動が伴わなくてはなりません。それから一人の覚悟だけでなく、同じ方向を向く仲間の覚悟も必要だと思います。

もうひとつ付け加えるならば、当たり前を当たり前だと思わないことです。普段の生活は誰かが支えているからこそ、みんな当たり前に暮らすことができると思います。最近ではコロナウイルスによって、日々の生活は大きく変わっていきました。例えば、突然、学校に通えなくなったり、昨日まで買えたものが買えなくなったり、会えた人に会えなくなったりします。当たり前のありがたさを感じて、すべてにおいて感謝する気持ちを忘れないことが大事だと思います。
Q三重県のscp10userさんからもう一問です。「昨年、富士スピードウェイで開催されたスーパーGTとDTMとの交流戦では初レースでの2位表彰台はすごかったです。世界最初のクラス1カテゴリーで日独ダブルチャンピオンを目指すお考えはありますか?」
もちろんDTMでチャンピオンを目指したいですし、DTMに限らず、海外のいろんなレースに出場してみたいです。ユーロF3以来(2008年)、海外のレースシリーズに参戦していませんが、海外のサーキットを走るのは面白いんですよね。チャンスがあればまたレースをしてみたいです。
Q熊本県の田上康太さんからの質問です。「レーシングカーに乗る前にするルーティンとかありますか?」
ルーティンは作らないようにしています。それをやらないと気になってしまうのがイヤなので。でも強いてあるとすれば、レース前に自分の部屋をきちんと片づけておくぐらいです。
Q滋賀県の星野聡さんからの質問です。「シーズン中にシュミレーターで練習はしていますか?」
僕はしていません。個人的には、練習では体力をつけたいと思っています。そういう意味ではシュミレーターよりも、例えば実際にレーシングカートで走ったほうが練習になります。シュミレーターでは体力はつきません。僕は実走を重視していますので、古いタイプのレーシングドライバーなのかもしれませんね(笑)。
Q岩手県の五十嵐さんからの質問です。「昨年、N-ONE OWNER‘S CUPに参戦されていましたが、トップドライバーとして参戦してみて、どんな印象を持ちましたか?」
N-ONEは面白かったですね。クルマ好きが集まってワイワイ、ガヤガヤとレースを楽しんでいました。パドックの雰囲気はすごくよかったですが、レースは結構大変でした。いろんなレベルの人が参戦していますが、トップクラスは実力者ぞろいです。だからパッと乗って勝てるレベルのレースではありません。僕も必死で走りました(笑)。
Q東京都の都出夏希さんからの質問です。「昨年、富士スピードウェイで開催されたスーパーGTとDTMの交流戦を見に行きました。土曜日のレース1は、表彰台おめでとうございます! DTMのマシンは抜きにくいですか? 楽しく走れましたか?」
あのレースはいろいろな出来事がありましたが、僕たちドライバーは走っていて楽しかったですし、見てくれたお客さんも面白かったと思っています。DTMのマシンが特に抜きづらいということもありませんでした。レース2ではいいバトルもありましたし、イベントとしては成功だったと感じています。
Q静岡県のやっちくりんからの質問です。「スーパーGTとDTM交流戦で、インディスタートで1コーナーに密集した状態で突入する時、どんな心境でしたか? 何を一番気にしていましたか?」
他の選手との距離が近く、自分の中ではレーシングカートに近いという印象を受けましたね。なかなか他のマシンとあんなに近づくことはなかったので、自分で乗っていても、見ているお客さんも迫力があったと思います。インディスタートのほうが追い抜きのチャンスは絶対にありますので、ドライバーもファンの皆さんも面白いかもしれませんね。
Q茨城県の櫛田崇太さんからの質問です。「日本のサッカーチームをどれくらい知っていますか? 僕はモータースポーツの他にサッカーも好きなので知りたいです。ちなみに僕は茨城県の鹿嶋市にあるサッカーチーム、鹿島アントラーズが好きです」
Jリーグが始まった当初はヴェルディ川崎(現在の東京ヴェルディ1969)が好きでしたね。カズ(三浦知良)さんやラモス(瑠偉)さん、ビスマルクさんがいて、本当にスター軍団という感じでした。Jリーグが始まった当初は大好きでしたね。今はあまりJリーグの試合は見てないのですが、サッカーは大好きです。ゲームのウイニングイレブンは時々やっていますよ(笑)。
Q茨城県の櫛田崇太さんからもう一問。スーパーGT用のブリヂストン・タイヤと、DTMで使用されているハンコック・タイヤどちらが好みですか?
タイム的にはブリヂストンのタイヤが速いし、好みはブリヂストンです。でもドライバーはどんなタイヤでもしっかりとマシンの性能を引き出さなくてはならないので、好き嫌いはないですよ。それに他メーカーのタイヤをなかなか履く機会がないので、交流戦はすごく勉強にはなりました。
Q三重県のさとやんさん、安田さんなど、多数の方からの質問です。「2019年のスーパーGTではブリヂストン・タイヤで戦っていましたが、DTM交流戦のハンコック・タイヤの印象はどうでしたか?」
ハンコックのタイヤはすごくコントロールしやすくて、予想していたほどにグリップの落ちもなかった。ワンメイクだからこそ、内圧もしっかりと管理されていて、イコールコンディションになっていたのかなと思っています。長年、DTMで作り上げてきたタイヤなので、公平なタイヤだと感じました。
Q千葉県のえすらいんさんからの質問です。「昨年、富士スピードウェイで行われたスーパーGTとDTMの交流戦がレース観戦デビューでした。音、スピード、雰囲気、すべてが最高で興奮の一日でした! グリッドパスを持っていたのでスタート前のグリッドでマシンを間近で見た時に、ほとんどのチームスタッフの人がリアウイングに寄り掛かる感じで立っていましたが、何か意味があるのです? あと壊れないものなのですか?」
スタッフが寄りかかっていたのはたまたまだと思いますが、それで壊れることは絶対にないです。ウイングにはダウンフォースが何百キロとかかっています。人ひとりが寄り掛かってもびくともしません。
Q滋賀県のMasa27さんからの質問です。「スーパーGTでのレース中、GT300やラップダウンの車両に対してパッシングをされて抜いて行かれると思いますが、なかなか抜かせてくれないドライバーやバトル中に正直、あまり近寄りたくないドライバーはいますか?」
いますが、名前は出せません(笑)。僕は500と300で勝負する必要は全然ないと思っていますが、時々、あからさまな幅寄せとか不必要な頑張りをするドライバーがいるんです。それは故意なのか、たまたま見えてないのかわかりませんけど。僕自身、300のドライバーの方の勝負を邪魔したくないので、お互いにリスペクトしながら走りたいと思っているのですが、時々、「そんな走りをしなくても……」ということが正直あります。
Q静岡県のなるきさんからの質問です。「尊敬するスーパーGTドライバーは誰ですか?」
難しいですね。でも尊敬する選手はいません。そういう気持ちを持ってしまうと、ギリギリのバトルになった時に戦えませんので。ただ唯一、超えたいなと思っているのは立川(祐路)さんです。立川さんは同じチームでずっと走っています(※1999年からスーパーGTでチームセルモに所属)。僕もリアル・レーシングという同じチームでずっと走っていますので、そこは負けらないなあと思っています。やっぱり同じチームで走る大変さもわかりますので、当然、結果を残し続けないとチームに在籍し続けることはできません。立川さんとは結果うんぬんは別として、その戦いは負けられません(笑)。
Q千葉県のマサゼットさんからの質問です。「スーパーフォーミュラとスーパーGTのどちらが好きでしょうか? その理由をお聞かせください」
何度か言ったことがありますが、ドライバーとして走るのはスーパーフォーミュラ、ファンとして見るのならスーパーGTが面白いと思います。スーパーフォーミュラはとにかくひとりで、自分とマシンの限界に挑みながら一生懸命に走るのが醍醐味です。一方のスーパーGTはいろんなドライバーとレースをして、抜きつ抜かれつのバトルをするのが楽しいですね。
Q千葉県のマサゼットさんからもう一問です。スーパーフォーミュラとスーパーGTは今シーズンどんなところを注目して観戦したら良いでしょうか?
スーパーフォーミュラはドライバーが注目されるべき競技だと思います。決勝よりも予選のほうがドライバーの力がわかりやすいと思いますので、ぜひ予選の走りを注目してほしいですね。ドライバーは予選でマシンと自身の限界を振り絞って戦います。外からでもクルマの動きを見ていれば、このドライバーは速いというのはわかりますので、そこにチェックしてほしいですね。

スーパーGTはいろんなドライバーがいて、マシンやタイヤもチームによって異なっていますので、見どころはたくさんあると思います。スーパーフォーミュラと同じように予選は注目ポイントだと思います。Q1とQ2でドライバーが異なるのですが、同じマシンでも走らせ方が違います。そこは見ていても面白いと思いますよ。